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ものづくり連携倶楽部ひろしま

金属熱処理技術を体験するため2工場を視察 ~ものづくり連携倶楽部ひろしま・第4回熱処理活用研究会~ 

2017-03-17
 ものづくり連携倶楽部ひろしまでは、3月10日、第4回熱処理活用研究会として、第3回までに学んだ知識を熱処理加工現場で実体験するべく、福山熱煉工業株式会社千田工場(福山市)、光陽産業株式会社笠岡工場(岡山県笠岡市)を、ものづくり補助金採択企業など55名で視察研修を行った。
 福山熱煉工業株式会社では、高周波焼入れに特化した千田工場を視察した。河田一実代表取締役から工場の配置や工程について説明があった後、工場内の視察を行った。工場内には、豊富なサイズ・処理能力の高周波焼入れ装置、約30台が所狭しと並び、シャフトの移動焼入れや、半自動で加工対象物の着脱を行うロボットアームなどに加え、現場検査場、完成品検査作業の現場を視察した。視察後は第2回の研究会で質問のあった「簡易な方法で表面硬度を測定する方法」に応えるため、硬度ヤスリを用いた硬さ測定の研修の場が設けられ、多くの参加者が硬度測定を体験した。
 

河田一実代表取締役


福山熱錬工業㈱工場の視察
  
 光陽産業株式会社では、来山尊代表取締役より、同社沿革や事業概要について説明があった。同社笠岡工場は約12,000坪の敷地に、圧延ラインや熱処理工程(浸炭、高周波、真空、ガス軟窒化など)を設置し、金属熱処理のあらゆるニーズに応えられる体制を整えている。同社の強みは「小ロット・短納期対応」であり、この強みを実現できるのが、自ら多くのことを判断できるハイレベルな従業員の存在であり、熱処理前後で見た目の変わらない製品を見極める技術等をより確かなものとするため、熱処理技能士資格を取得できる環境を整備するなど、人材育成に力を注ぎ、多くの熱処理技能士を擁するに至っている。また、来山代表取締役の方針で、以前から女性の活躍も積極的に推進しており、現場主任を担う女性技能士も熱処理現場で大きく活躍している姿が伺えた。視察を終えた参加者からは、「自社の設計・製作する製品を熱処理加工する際の技術的アドバイスを得たい、見積をお願いしたい」との声も聞かれ今後の連携につながる話もあった。
 参加者は、両工場で熱処理加工の様子や様々な種類の設備を視察したことで、座学により得た「金属熱処理」の手法や理論の理解がより一層深くなるとともに、「知っている」から、「生きた知識」へと昇華することができた。
 

来山尊代表取締役


普段見られない工場内も見学
 
 2工場視察終了後は、福山労働会館みやびに場所を移して、企業経営者や熱処理技能士等の従業員、視察参加者を交えた意見交換会を開催した。ものづくり連携倶楽部ひろしまでは、多様な連携を促進するため、今後も熱処理活用研究会をはじめとした分科会的活動を積極的に展開していくこととしている。
 

意見交換会の様子