1.組合に関する税制の概要
中小企業者の組合である中小企業等協同組合、商工組合、協業組合、商店街振興組合及び生活衛生同業組合等に対しては、会社に対する場合と違って、税制上の優遇措置がとられている。しかし、これらの組合でもその種類、内容の相違によって課税上の取扱いが異なっており、法人税法上の取り扱いの相違によって組合を大別すると、次のようなグループに分けることができる。

〔事業協同組合等〕
このグループに属する組合は、事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、協同組合連合会、出資商工組合、出資商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、出資生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合及び出資生活衛生同業組合連合会である。これらの組合は、いずれも出資制をとり、いわゆる経済事業を実施することのできる組合であるが、法人税法では「協同組合等」として扱われ、法人税率その他各種の特典が与えられている。

〔非出資組合〕
このグループに属する組合は、非出資制をとる商工組合、商工組合連合会、生活衛生同業組合及び生活衛生同業組合連合会である。これらの組合は、経済事業を行わずその事業が業界全体の改善発達を図ることを主とするなど公益性のあるところから、法人税法では「公益法人等」として扱われ、法人税をはじめ地方税の多くのものが非課税となっている。

〔企業組合及び協業組合〕
これら企業組合及び協業組合は、その組織・事業形態等に会社と類似する面があるなどの理由から、法人税法では「普通法人」として扱われ、例外はあるものの概ね会社と同様に課税される。

また、法人税法の特例を定めた租税特別措置法では、政策目的実現の観点から法人税法とは異なった独白の組合の範囲を設定し(「12.特別償却(又は税額控除との選択)」)課税の特例の適用対象としているほか、地方税法でも各税目の中の特別措置ごとに対象となる組合を設定している。
グループ別に税法別の取扱い及び特別措置の概要を示すと、下記のとおりである。
これらは、概ね組合にのみ適用されるものであるが、これら以外の事項については一般法人に対する税制がそのまま組合にも適用される。したがって、組合は、組合にのみ適用される税制とともに、一般税制及び組合にも適用される一般的な特別措置、あるいは組合職員の給与等についての所得税法の規定なども充分研究し、税務処理に遺漏のないようにすべきである。

1.事業協同組合等

〔法人税〕
1.税率の軽減(法人66条、99条、経済16条)
2.加入金の益金不算入(法人22条、2条)
3.事業利用分量配当の損金算入(法人61条)
4.賦課金の仮受金経理(基通(法)14-2-9)
5.留保所得の特別控除(火災共済協同組合、信用協同組合、商店街振興組合、非出資商工組合、非出資生活衛生同業組合及びそれらの連合会並びに生活衛生同業小組合を除く。)(租特61条)
6.火災共済協同組合、出資生活衡生同業組合及びこれらの連合会の異常危険準備金の損金算入(租特57条の5)
7.生命傷害共済事業に係る責任準備金及び支払準備金の損金算入(個別通達(法)昭51.4.13直法2-11)
8.中問申告書の提出不要(法人71条)
9.中小企業等の貸倒引当金の特例(租特57条の9、租特令33条の8)

〔地価税〕
平成10年度税制改正により、平成10年度以後の各年の課税時期において、当分の問、課税しないこととされた(租特71条)ため、内容は省略。

〔登録免許税〕
組合の設立、代表理事の変更その他中協法など当該組合の根拠法に基づく登記:非課税(登録別表第!-19号)

〔印紙税〕
1.信用協同組合・同連合会を振出人又は受取人とする約束手形及び為替手形:200円(印紙別表第1-3号、印紙令22条)
2.出資証券:非課税(印紙別表第1-4号、印紙令25条)
3.定款:非課税(印紙別表第1-6号)
4.受取書:組合が組合員に発行するもの及び組合員が組合に発行する受取書並びに営業に関しない受取書:非課税(印紙別表第1-17号、基通(印)別表1-17号文書21)
5.信用協同組合・同連合会の作成する預貯金通帳1非課税(印紙別表第1一18号、印紙令27条)
6.チケット発行事業のクーポン券1非課税(基通(印)別表第1課税物件、課税標準及び税率の取扱い)

〔事業税〕
特別法人として軽減税率が適用(地方72条の22)。
なお、平成16年度より、外形標準課税が導入されたが、特別法人については、所得割のみで、付加価値割及び資本割は課されない。
(注)出資金が1億円を超える企業組合及び協業組合については、付加価値割及び資本割が課される。

〔不動産取得税〕
1.病院及び診療所用不動産:非課税(事業協同組合(連合会を除く。)、商工組合(連合会を除く。)、信用協同組合・同連合会、商店街振興組合・同連合会に適用。)(地方73条の4-1項8号)
2.独立行政法人中小企業基盤整備機構法により、都道府県又は同機構から資金の貸付又は譲渡を受けた次の(1)〜(4)の施設の課税標準は、価格に当該施設の取得価額に対する当該貸付けを受けた額の割合を乗じて得た額、又は価格に当該施設の譲渡した対価の額に対する当該対価の額から当該施設の引渡しを受ける時までに支払うべき額を控除した残額の割合を乗じて得た額を価格から控除した金額(地方73条の14-7項、地方令38条の2〕。
(1)事業協同組合・同連合会、商工組合の保管、生産、加工又は展示用の家屋
(2)事業協同組合・同連合会の修理用の家屋
(3)事業協同組合・同連合会、商工組合の新商品又は新技術開発のための試験・研究用の家屋
(4)事業協同組合の小売商業店舗共同化店舗
3.独立行政法人中小企業基盤整備機構法により、都道府県又は同機構から資金貸付又は施設譲渡を受けて取得し、5年以内に組合員に譲渡する工場団地、卸団地、貨物自動車ターミナル団地、倉庫団地、共同工場、商店街近代化等の不動産で5年以内に組合員に譲渡する不動産(事業協同組合・同連合会及び商店街振興組合のみ適用。):免除(地方73条の27の5、地方令39条の5)

〔固定資産税〕
1.病院及び診療所用固定資産:非課税1箏業協1洲⊥合O皇今会を除く工〕、商工組合(連合会を除く。)、信用協同組合・阿連合会、i削コk街振興細合・1司連今会に適刷、」)(地方348条2項11号の3)
2.事務所及び倉庫(敷地を除く。):非謀税(信用協同組合・同連合会を除く。)(地方348条4項、個別通達昭27.8.29自丙税発7号「事務所及び倉庫の範囲について」)

〔備考〕
信用協同組合・同連合会については、平成6年度税制改正により、事務所及び倉庫に対する非課税措置が廃止されたが、一定規模(預金量5千億円)未満の信用協同組合の課税標準については、価格の2分の1となる(地方349条の3-32項、地方令附則2条、地方附則(平成6年)9条)。
3.独立行政法人中小企業基盤整備機構法により、都道府県又は同機構から資金の貸付を受けて取得した1台・1基330万円以上の機械・装置の課税標準は、3年度に限り、取得価格の2分の1(事業協同小組合、商工組合連合会、商店街振興組合・同連合会、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合・同連合会を除く。)(地方349条の3-4項、地方令52条の2の2、地方規則11条)。

 
2.非出資組合

〔法人税〕
収益事業から生じた所得以外の所得及び清算所得:非課税(法人7条)

〔地価税〕
(省略)

〔登録免許税〕
組合の設立、代表理事の変更その他中団法なと当該組合の根拠法に基つく登記:非課税(登録別表第1-19号)

〔印紙税〕
1.定款:非課税(印紙別表第1-6号)
2.受取書:組合員に発行するもの及び組合員が組合に発行する受取書並びに営業に関しない受取書:非課税(印紙別表第1-17号、基通(印)別表1一17号文書21)

〔住民税〕
道府県民税、市町村民税は、均等割課税のみ(地方24条5項、52条、294条7項、312条)。

〔事業税〕
収益事業から生じた所得以外の所得:非課税(地方72条の5)

〔不動産取得税〕
商工組合(連合会を除く。)の病院及び診療所用不動産:非課税(地方73条の4-1項8号)

〔固定資産税〕
1.商工組合(連合会を除く。)の病院及び診療所用固定資産:非課税(地方348条2項11号の3)
2.事務所及び倉庫(敷地を除く。):非課税(地方348条4項、個別通達昭27.8.29白丙税発7号「事務所及び倉庫の範囲について」)

 
3.企業組合及び協業組合

〔法人税〕
1.普通法人として課税(法人2条、66条)
2.加入金の益金不算入(法人22条、2条、法人令8条)

〔登録免許税〕
組合の設立、代表理事の変更その他中協法など当該組合の根拠法に基づく登記:非課税(登録別表第1-19号)

〔印紙税〕
1.出資証券:非課税(印紙別表第1-4号、印紙令25条)
2.定款:非課税(印紙別表第1-6号)
3.受取書:組合が組合員に発行するもの及び組合員が組合に発行する受取書並びに営業に関しない受取書:非課税(印紙別表第1-17号、基通(印)別表1-17号文書21)

〔事業税〕
普通法人として課税(地方72条の24の7)。

〔固定資産税〕
1.協業組合の事務所及び倉庫(敷地を除く。):非課税(地方348条4項)
2.協業組合が独立行政法人中小企業基盤整備機構法により、都道府県又は同機構から資金の貸付を受けて取得した1台・1基300万円以上の機械・装置の課税標準は、3年度に限り、取得価額の2分の1(地方349条の3-4項、地方令52条の2の2、地方規則11条)。

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