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三宅食糧工業株式会社 “削り節の高付加価値新商品の新たな開発を目指して” 

2014-11-10

三宅食糧工業株式会社
代表取締役社長  三宅 章太郎 氏

 

御社について教えてください。

当社は、大正14年に三宅商店として創業して以来、かつお節をはじめとした食品製造を事業の核としております。当社の製品は、一般家庭、スーパーなどではほとんど出回っておりません。液体だしでなく、一からしっかりだしをとる、そんな非日常を求められる旅館やホテル、料亭などにおいてご利用戴いております。

 かつお節・削り節について教えてください。
昔は、「花かつお」と呼ばれていましたが、より細かく分類する為、かつおが原料となるものは「かつお節」、その他の鯖や鰯などは「削り節」と2つに分類されるようになりました。かつお節(枯節)の主な工程は鰹を三枚におろして煮熟し、火入れ(燻製)しながら乾燥させ、カビ付けを何度か繰り返し最期に磨き工程を経て節に仕立てます。そして、それを切削するのが当社の仕事となります。
また、以前は、「だしをとる」ことが主流でしたが、最近では、「食べる」ことへシフトしつつあります。しかし、まだまだ7割〜8割程度はだしの需要が占めています。
その大きな要因としては、日本人の食生活が、和食から洋食中心へ変化していることでしょう。
さらに、一般家庭の商品については「かける、且つ、魅せる」ニーズが多く、だし入りの製品も多く出回っています。現在は、顆粒や粉末もある為、一からだしをとり料理を作っているご家庭というのは、ここ5年をみても2割程度減っています。食べることについては増えていますが、一度に食すのは1g〜3gと、だしをとるのと比べて量が違いますので、利益に結びつけるのに苦労しています。「食べる」削り節は、いかにニーズのある付加価値をつけられるかがとても重要です。

事業を行う上で苦労した経験、苦悩などありましたらお聞かせください。
かつお節業界にとって、昨今、大きな課題となっているのは、「異物混入」です。以前は、「削り節に魚の小骨が含まれている」というのは当たり前の認識でした。しかし、最近はその認識が通用し難い風潮となっております。例えば、広島には名物の美味しいお好み焼きがありますので、上にふりかける削り節、けずり粉は大量に消費されます。しかし、皆さんお好み焼きを見た時に、「そこに魚の骨が入っている」という意識はありません。従って、小さなお子さんの場合は、極々稀に小骨が引っかかるという事が起こってしまいます。
また他にも、佃煮メーカーさん等で異物混入が発覚するケースがあります。佃煮メーカーさんでは、生鯖を機械的に圧縮して油をとり、煮熟して乾燥させた圧搾鯖を好んで使います。これは味を染みこませる為です。圧搾するということは、骨も一緒につぶされますので、稀に佃煮メーカーさんが消費者より、「佃煮に骨が入っている」とクレームを受けます。鰹節屋からすると、骨は当然魚の一部ですから基本的に異物ではないと認識しておりますが、消費者は、「危ないものが出てきた」と捉えてしまうのが最近の傾向です。
また、判別除去の問題は骨だけでなく、「プラスチック片などの異物」も該当します。
佃煮等の圧搾鯖では、内臓を外に押し出す時に逆に異物が体内に押し込まれる場合があり、それは1㎜片のもの一つとっても0.02〜0.08mmまで削り込み、数百枚程度にまで分解されてしまいます。削った際にある程度除去はできますが、圧搾鯖はエキスを絞り出してほぼ白色な為、微細になると非常に見つけにくくなります。ただ、取引先の佃煮メーカーさんの多くでは調味液に漬け込むので、異物に色が着かず浮いてきます。1㎜片がひとつ入っていても細かく削るとたくさん浮いて出てくるわけです。今はご理解戴いておりますが、絶無が絶対ですので非常に苦慮しております。

 研究開発についてお聞かせください。
「製品と骨やプラスチック片は、どうすれば見分けられるか。」これは、今回のものづくり補助金に挑戦した際のテーマです。そして、これに対する答えは、様々な検査機器メーカー、並びに、研究機関の先生方と相談、研究を重ねる事でいい結果となると考えていました。しかしある程度の除去はできるが、その全てを判別除去する機械設備は現状において非常に厳しい。という解答を得ることとなりました。これは端から見れば「残念な結果」と捉えられますが、当社は逆に、「そもそも異物として認識させないようにするにはどうすればよいか」、また、「最後はやはり人力による検査である」と方向性が決まり、次のステップへの挑戦が可能となりました。結論として、種々の検査機器による段階式の異物除去システムを構築し、異物をどう弾いていくか、そして、骨をどのような形に裁断するか、など、現在は新たな課題に対して、研究を行っているところです。
当社が所属する広島食品・工業協同組合はさまざまな業種の方が加入しており、日頃から連携・交流によりネットワークを構築しています。今回のものづくり補助金では、これまでとは異なる外部の研究機関や大学など一歩先を探求できる多方面の人脈も得られ、当社にとってとても価値のあるものとなりました。
今後は、当社の経験を他の組合員の方にも伝えていき、新たな取り組みに繋げていきたいと思います。

 読者の方に伝えたい事があればお聞かせください。
人々の趣味嗜好が多様化する中で、私たちは今まで培ってきた技術をベースとして、そのニーズに応えるため、お客様との連携を密にし、きめ細かな対応を常に心がけ、邁進しております。これからもこの長年築きあげた信頼を積み重ね、さらには一層お客様の喜ばれる商品の開発、提案を続け、和食の基礎となる「だし」のさらなる発展を目指し、豊かな食生活に貢献できるよう努めてまいります。今後とも宜しくお願い申し上げます。

三宅食糧工業株式会社(広島食品・工業協同組合)
住所 広島市佐伯区湯来町伏谷1581
TEL 0829―86ー0503

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